おことのお稽古基礎の基礎④はじめての調絃

2020年9月14日

箏は調絃、チューニングを自分でする必要のある楽器なのですが、初心者にとってはなかなかハードルが高いものです。現在は電子チューナーという便利な物があるので、初心者でも安定して調絃ができますので、電子チューナーを利用した調絃についての動画を作成いたしました。
YouTubeに動画をあげておりますが、文章としても作成しておきます。とりあえず動画はこちらです。

では、文章で調絃についても説明していきます。

まずは調絃の前に事前に最低限の楽典、音楽についてのルールを覚える必要があります。
ドレミファソラシド…とかそういうことなのですが、おそらくドレミと五線譜、そしてピアノの鍵盤については学校の音楽でもやっていたりするので知っているかと思います。

このドレミファソラシドという音高名は、アルファベットでも表記ができます。

黒鍵の部分も加えるとこういう具合となります。

シャープとフラットと2つの記載が黒鍵にはありますが、とりあえずはシャープもフラットも同じ音として扱ってください。この音高名を音高順に横に並べるとこのようになります。

左から右へ向かうと音高が上がり、右から左へ向かうと音高が下がります。ドレミも重ねてみましょう。

さらに一番下に和名の音高名を付けました。ラがABCのAになっていて、イロハのイになっておりますね。ちなみにドレミは元々はイタリアにおける音名です。今や一番日本でメジャーな音高名になってしまいましたね。

話を戻しまして、調絃においては、ABCなどアルファベットで表記される音高名を理解しておく必要があります。なぜかというと、電子チューナーに表示される音高名がアルファベットだからです。

440Hzという表記も簡単に説明します。こちらは音律の基準となる周波数を表した数字です。この数字が大きいほど音が高くなりますが、一歩踏み込んだ話になるので今回は割愛しますね。とりあえずは一緒に合奏する人同士でこの数字が統一してください。ちなみにHzはヘルツと読みます。

電子チューナーの画面の見方ですが、Dの音より少し低いですよ、という時にこういう具合になります。

逆に少し高い時はこんな具合ですね。

音が合うとメモリが中央の0に合い、ライトが両方ついたり、合ってる時だけ光るライトがあったりと、その辺りは機種により様々です。いずれにせよメモリが中央の0に合う、というのは一般的な電子チューナーになるかなと思います。

音高を下げてメモリが左に行き過ぎて、表示ができないくらい傾くと、音高名がC♯に変わったりしてメモリが逆方向の右に表示されたりします。電子チューナーは特に設定などしなければ近似の音高名を表示する形です。とにかくアルファベットで表記されますので、そのためにアルファベットの音高名を知る必要があるということになります。

また、黒鍵部分の♯、♭についてもチューナーの機種によって♯で表記されたり♭で表記されたりと異なるもので、♯と♭と同じ音になる関係についても知っておきましょう。

やっとここから先が箏のお話となります。

まずは箏柱を動かすと音高が変わります。演奏者から見て右に動かすと音高が上がり、左に動かすと音高が下がります。

例えばDの音に合わせようとして、チューナーがこのように表示されていたら箏柱をどちらに動かせば良いでしょうか?

この場合はDよりも音が低いので音高を上げなくてはいけません。ということは

このように箏柱を右に動かして音高を上げます。ここで一つ注意して欲しいことがあります。箏柱を動かすときに柱の上部を持たず中央の穴付近までしっかりと深く絃の間に指を突っ込んで持ってください。

箏の絃は強い張力なので、上部をもつと箏柱を倒したりすることがあります。倒れた箏柱が割れたりもします。また、この強い張力があだとなり、箏柱を動かすのも初めは大変だと思います。ここはもう慣れるしかないですね。

あとは箏の13本の絃を何の音にすれば良いか、ということになりますね。

例えばさくらさくらをひいたりするのがこの壱越平調子というチューニング名になるのですが、とりあえずは1つ1つの絃を指定された音高に電子チューナーを使って合わせていきましょう。大まかに壱越平調子だと箏柱がこんな感じで並ぶ、というイメージがあるとより効率的に調絃ができるようになります。

動画ではもう少し詳細に触れたりもしていますが、とりあえず文章及び図解による調絃についての説明はこのあたりにしておきますね。はじめは調絃はとにかく時間がかかりますが、繰り返しやっていくと時間はどんどん短縮されます。その意味では、はじめがしんどいのですがその壁を乗り越えられる人が一人でも多くなりますよう、この文章を書きましたが、ほんの少しでも役に立てば幸いです。